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働いている人も障害年金を受給できるのか

文責:所長 弁護士 横江利保

最終更新日:2025年01月07日

1 障害年金は働いていても受給することができます。

 障害年金は、病気やケガ等により一定程度の障害を負った場合に支給されます。

 その程度は1級から3級に分けられており、障害基礎年金の場合には1級から2級の程度の障害を負っていると判断された場合に、障害厚生年金の場合には1級から3級の程度の障害を負っていると判断された場合に支給されます。

 そして、その程度については、一番程度が軽い3級についても労働が著しい制限を受けるか又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度のものとする、とされています。

 そのため、一見すると、普通に働くことができる場合には障害年金の支給が難しいようにも思えますが、そんなことはありません。

 労働を制限する程度の場合でも認定されるので、仮にフルタイムで働くことができていたしても、等級に該当しえます。

 そのため、働いていても障害年金を受給することはできます。

 

2 障害年金と仕事の内容

 ただ、働いていることが、障害の程度の判断に影響を与えることもあります。

 どのような影響を、どのくらい与えるかは、障害の種類によって異なります。

 眼や耳の障害については、認定基準がきっちり定まっているので、障害の程度が当該認定基準に該当するかどうかが問題となり、フルタイムで働いているかどうかはあまり影響を与えないことが多いです。

 一方、精神の障害に該当するかどうかにおいては、働くことができているかどうか、フルタイムで働いているか、パートやアルバイトに過ぎないのか、障害者雇用なのかどうか、就労継続支援事業等で働いているのかどうかが、大きな要素を占めていると考えられています。

 そのため、精神の障害で、かつ、働くことができている場合には、障害によってどのような制限を受けているか、どのような配慮を受けて仕事をすることができているかを丁寧に説明することが、障害年金を受給するために必要になることがあります。

障害年金の遡及請求

文責:所長 弁護士 横江利保

最終更新日:2025年01月07日

1 遡及請求とは

 障害年金の申請は、申請時点から過去に遡って受給が認められる場合があり、その場合は遡及分の障害年金が一括で支給されます。

 遡及請求がどのような場合に認められるのか、どこまで認められるか等について順番にご説明いたします。

 

2 遡及請求が認められる場合

 遡及請求が認められるにあたり、大前提として障害年金の各受給要件を満たしている必要があります。

 具体的には、初診日に年金制度に加入している等の一定の状態にあることと、保険料の納付です。

 上記の要件を満たしていることに加えて、障害認定日時点における障害の状態が障害年金受給の基準に達していることも合わせて求められます。

 「障害認定日」というのは、障害の程度を審査するにあたって基準となる日で、一部の例外を除き、初診から1年6か月経過時点とされています。

 障害認定日時点の障害の状態について、診断書等で明らかにすることができないと、遡及請求は認められません。

 

3 いつまで遡及請求が認められるか

 遡及請求は、初診日が特定でき、障害認定日時点での障害の程度を示す診断書等が提出できる限り、何十年も前の障害認定日についても認められます。

 ただし、実際に支給されるのは最大で5年分までとなっています。

 例えば、10年前の障害認定日の状態が障害年金受給の基準に達していたと認められても、10年分すべて支給されるのではなく、直近5年分までしか支給されず、それより古い分は時効となってしまいますのでご注意ください。

 

4 よくある誤解

 遡及請求は、あくまで「障害認定日時点」の障害の状態が、受給基準以上の状態にあると判断された場合に受給が認められるものです。

 そのため、申請する側の方がどこまで遡及するかを選べるわけではないという点には注意が必要です。

 例えば、障害認定日が3年前で、その時点では障害の状態が基準に達していなかった方が、1年前くらいから症状が悪化し仕事もできないくらいの状態になった場合、1年前に遡って請求したいと考えたとしても、そのような請求は認められていない、ということになります。

 上記の場合は、事後重症請求といって、障害年金を請求した日の翌月分からの支給を求める申請方法しか選択できないことになります。

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